2011年12月15日木曜日

頼んだら、幾らでも出してくれると思うよ。

『魔法のお店』(荒俣宏監修)というアンソロジー本がある。最初、奇想天外社から出版されていて、昔、図書館で読んだ。手元に置いておきたいと思って、しばらくして文庫本を買ったら、『新魔法のお店』(筑摩書房、1989年版)には、読み返したいと思っていた「ガラス瓶の船」(P・スカイラー・ミラー著)がなかった。
でも、一番好きだった「お茶の葉」(H・S・ホワイトヘッド著)はあったし、「われらの町で」(R・A・ラファティ著)もあった。


その「in our block われらの町で」。町の一角に、掘っ立て小屋が並んでいる。最初の小屋からは、裏に工場もないのに荷物が凄い勢いで次から次へと出てきて、トラックいっぱいに荷が積まれている。興味を持ったアートとジムが、小屋の主に聞けば、何でも即座に、大量に出荷できるという。
その隣の小屋は、代書屋だけれど、タイプライターはない。美人のおねえさんは、外でアート達が待っている間、タイプライターの音を猛スピードで響かせて、5秒で3ページの代書を完璧にしてくれた。その次の小屋では、冷蔵庫もないのに、店のおねえさんが冷えたビールを出してくるし、ラベルの間違えたスペルも、手で一滑りすれば直っている。


さ、欧州も日本もここの人たちに頼んで、いっぱいお札を刷ってもらおうよ。
紙代もインク代も格安。間違いなし。
で、聞いてみたらいいよ。どうやって刷ったのですかって。代書屋のおねえさんが答えてくれるから。