川本喜八郎「死者の書」より  ひなあそび、機織るひめの郎女

β版です。以前、i WebというHP簡易作成ソフトで、知人の家具屋さんを手伝ってHPを作ってみました。大変不評だったので、更新を停止。
以前掲載した記事「ひなあそび、機織るひめの郎女」(2009.2.22)を整理するため転載編集中です。

トレーラーの動画があって、乳母や侍女が四股を踏んだり、小道具が面白くて見入ってしまうくらいでしたが、もう無くなっていました。トレーラーがあれば、DVDや書籍の売り上げも増えると思うのに、残念です。
この記事は、トレーラーはないし、写真は拡大しないしで、面白くないと思いますが、よろしければご覧ください。
写真と文はうさぎの聞きかじり。写真はクリックすると多少大きくなります。


広島の名勝縮景園では、梅が満開だそうです。縮景園は当店のすぐ近くですので、散策を楽しまれた後、どうぞ寄ってみてください。

さて、もうひとつ近いのは、桃の節句ひな祭りです。ひな人形に限らずとも、好きなように舞台空間をしつらえて、衣装を替え道具類など小さなものを動かし、台詞を言い擬音を発してにぎやかに、心はかえって寡黙に無心になり引きこまれていく人形の世界。

こんな不思議な世界を映像で楽しめるのが人形アニメーションですが、人形美術家兼アニメーション作家である川本喜八郎監督が、折口信夫の小説『死者の書』を映画化しています。
大津皇子(声/観世銕之丞)と藤原南家の郎女(声/宮沢りえ)が織りなす魂の物語が中心ですが、人形の衣装と食器、手箱などの小道具、屋敷の建築様式や寺院のセットに見入ってしまいます。




DVDでは製作過程が見られて、より映画が楽しめます。

藤原南家のお姫様・郎女が蓮糸で機を織ります。この機織機は実際に布が織れるそうです。







恵美押勝(江守徹)が大伴家持(榎木孝明)とお酒を酌み交わすシーンでは、青いグラスが使われていました。



郎女が写経を始めるにあたって袖カバーを着けたり、乳母や侍女たちが困惑し真面目な表情をたたえている時ほどコミカルに見えたり、妙にリアルな一コマがほほえましくもあります。
それにしても、甃(いしだたみ)の道を踊りながら歩く郎女の何と美しいことか。肩に羽織っている薄物の領布(ひれ)がひらりひらりと、長い髪がふわふわと舞います。わたしたちの世界でも、浮き浮きと足取りも軽く外へ出られる春もすぐそこです。

折口信夫の『死者の書』はネットの青空文庫でも読めます。物語では千部発願した写経が、春分の日・秋分の日を節目として数えられ、時間軸の目安となって語られていきますが、春のお彼岸まであとひと月ということもあり、ご紹介してみました。





写真は家具店にて。