2012年10月31日水曜日

書けば他愛もなく

書いているそばから嘘になったのが、夜のこおろぎ2。週に二度三度、自転車で帰る人の歌声が聞こえていたはずなのに、全くそんな気配はないようだ。一度だけ、例の時間帯、夜の11時半頃に若い男性の歌声が聞こえたのが、ノリが悪かった。切れが悪い。別人だと思う。

書いているそばから本当になったのが、女医さんの話。早速女医さんに会うことになった。

私は、秋の花粉症で10月初めから皮膚のトラブルが続いていた。一度は治まりかけていたものの、胸の付近に発疹が出来て、4,5日前から夜も眠れぬほど痒みが酷くなった。すると、いろいろぶりかえすように、衣服と触れる箇所もかぶれたり、体のあちこちに発赤も広がる。
とにかく痒いので、皮膚科で内服薬を処方してもらったほうがよさそうだと思った。

でも、来週は病院の定期検診があり、前回の血液検査結果を聞く予定だし、この皮膚炎が万が一内臓系の病気からの可能性があるのなら、病院内あちこち回ればいいから、我慢しようかとも考えた。
いや、でも胸をかきむしりたくなるほど痒かったので、皮膚科の女医さんに診てもらいに行った。5年ぶりの診察だった。先生は白いお顔で華奢な感じは変わらず、それでいて風格が漂っていた。

やはり蕁麻疹ではないかということで、いきなり「しいたけ食べた?」と聞かれた。いえ、しいたけは食べていませんと答え、頭の中で最近食べていない理由を呑み込む。
蕁麻疹の原因は、食品以外にもさまざまで、疲労や寒暖の差によるものもあるらしい。道理で、朝起きて着替えている間に、それまで何ともなかった皮膚に、発疹や発赤が急に出来るわけである。
胸や腕、脚など丁寧に観察してもらって、処置室で看護婦さんに薬を塗ってもらうことになった。看護婦さんも前からいた人だった。私の平原のような胸に薬を塗ってくれた。

先生が処置室のカーテン毎に、患者の具合をチェックしに来たとき、思い出した。頭のてっぺんにも、ほんの小さく盛り上がった箇所があって、傷になっているのだろう、そこに触れると痛い。
先生に「いつから?」と聞かれて困った。覚えていない。朝目覚めたら、ベッドのヘッドに頭をぐいぐい押しつけて寝ていたことがあったので、そのせいかもしれないと話した。籐のベッドで、巻き目に頭が当たっていたのである*(訂正)。
でも、それがいつかは覚えていない。何だか、自分が馬鹿というか呆けたような気がした。
先生は虫眼鏡でよく見てくださって、抗生剤入りの薬が追加となった。

薬局では、薬剤師さんと一緒に下を向いて、カウンターに置かれた薬と用法の説明を聞いていたが、最後に「頭に傷ができちゃいましたか」と明るい調子で声をかけられた。私は顔を上げて、そうなんですと笑いかけ、カウンター向こうの薬剤師さんを見た。薬剤師さんは、ツルッツルの頭に指を突き立てていた。私は、つい視線をその頭に留めてしまった。

でも、昨夜書いたとおり、J'ai mal à la têteである。頭痛ではないけど。


*書いたすぐそばから、訂正。ベッドのヘッド部分には、頭を傷つけるようなものはなかった。籐をジョイントして巻いてある部分も上の方だけである。でも、傷の部分にぴったり当たる箇所があってそのせいだと思ったのだけれど。
籐の家具は、軽いし、通気性が良く、丸くて当たりがよく、体を傷つけないのが長所。うちのベッドは、借家の畳の上に置けるということでそれにしたのだが、古さに馴染みすぎている。色を塗り替えてみたいとよく思う。
ベッドは、ファブリックで8割は決まると思うのだが、カバーなど買うと高いし、作るのは大変そうだし。