2012年7月25日水曜日

素晴らしかったコンサートとプログラム変更

先日の土曜日、「小畑佳子&本山麻優子 デュオ・リサイタル」に行った。
市が主催する文化事業の一環だそうで、前売り1500円だった。


小畑さんはメゾソプラノ歌手で、私はピアノの先生のご紹介でコンサート情報を知った。前に何度か「4ひきのこぶた」というシリーズのコンサートで、小畑さんの歌声を拝聴している。「4ひきのこぶた」というのは、ソプラノ歌手ばかり四人によるユニットだが、声楽に素人のわたしでも、それぞれの声の個性がこんなに違うのかと面白く、プログラムや脚本がいつも洒落ていて楽しい。
今回は日本歌曲をプログラムに組まれて、夏らしい選曲。


本山さんは、前売りでもらったパンフを見るとお若くて、まだ大学一年生の新進ピアニストらしい。経歴を拝見すると、海外でも活躍されて凄い方のようなのだが、演目を見ると、ちょっと悩んでしまった。リスト、スクリャービンが一曲ずつで、後はショパンが三曲もある。私はショパンが苦手で、前半は聞いてみたいけれど、ショパンはどうしようかと、実はチケット購入まで、しばし躊躇していた。


ひょっとしたら、この引っ掛かる気持ちが、主催者側に届いたのかもしれない。
土曜日、会場について着席すると、プログラムを変更しておりますとお詫びのアナウンスがあった。受付でもらったパンフを見直すと、前半がピアノになっている。曲目も、ハイドン、ショパン、リスト、スクリャービンで、ショパンがたった一曲に変更されている。


素晴らしい。


それにしても、大胆なプログラム変更で、前半にピアノを持ってきただけではなく、さらに歌曲の半分を入れている。休憩を挟んで後半は、歌曲の残りでたった三曲。これはなかなか良い知恵が絞られたのではないだろうか。
まるで、ピアノの前に帰ろうかと思っていた私の気持ちを見透かしたかのようである。とても嫌なことを書いて申し訳ないが、それくらい、最初のプログラムに魅力を感じなかったのである。
それに引き替え、新プログラムでは、事情があって、前半だけで帰らなければいけない人がいたとしても、ピアノも歌も聞けたということで、満足されるだろう。


ピアノの演目もがらりと変わったのは、誰がアドバイスしたのだろうか。最初のは、主催者側というか昔の大人が選んだ演目を思わせた。ショパンは定番過ぎるし、そのうち一曲は、夏なのに「木枯らし」なのだった。団塊の世代なら喜ぶかもしれない「革命」もあった。いや、私は「革命」を聞いたことがないのだけれど。


ここまで書くと、主催者側に腹が立ってくる。最初から、今回のプログラムにしておけば、お客さんはもっと入ったのではないかと思う。
それに、夏休み初日の土曜日にコンサートというのも、どうだろう。客層のターゲットは子どもからシニアまでらしいが、子どもや保護者の世代は、この土曜日は、学校での懇談や行事にあれこれ目一杯の予定で多忙なはずだ。
チラシも、どうにかして欲しいような古めかしさで、予算を掛けられないのは言い訳にはならないと思う。市の未来都市創造財団が主催だけれど、チラシは外注でお任せ、なら、なおさら、もう少しいい仕事をして欲しい。


さて、本山麻優子さんの演奏は、来て良かった、と心から思えるほど素晴らしかった。本山さん自らの曲についての解説を聞くと、年頃のお嬢さんそのままなのだが、演奏は立派で、自然な流れで、飽きることなく、非常に心地良く聞かせてもらった。私は、音楽を聴く耳を持ち合わせていないのと、演奏された曲についてあまり聴いたことがないので、細かく感想を書けないのが残念だ。これを読んでいる方は、もっと残念だろう。分かち合うものが何も無いブログで申し訳ない。


次の、小畑さんの歌曲も、期待通り、しみじみとよかった。最初の「浜辺の歌」は大好きな曲で、イタリアオペラも混じり、最後の「さとうきび畑」もよかった。休憩の前後で衣裳も替えてくださり、素敵だった。
アンコールでは、本山さんも最初のグリーンのドレスから白いドレスに着替えて現れ、小畑さんのピアノ伴奏を初々しい感じで務め、デュオ・リサイタルの締めくくりに相応しかった。


帰宅して、本山麻優子さんを検索すると、知らないほうが変、と思われるくらい、実力があるピアニストらしい。数々の賞を受賞されていて、動画もいっぱいあるのだが、生で聞いた方がもちろん音が良くて魅力的。


リスト
バラード第2番ロ短調  S171.R.16