2012年8月2日木曜日

調律前に思い出したこと、選り好みの権利はない

梅雨で湿気たピアノの調律をお願いしないといけない、と思いながら日が過ぎている。


ピアノの部屋には除湿器は置いてあるが、かなり熱が出て、狭い部屋なのでその場にいられないほど暑くなる。エアコンで、24時間一定の温湿度に保つのが理想的である。だけど、そんな余裕はない。


ちょろちょろと弾く程度だから、まあ年に一回調律すればいいでしょう、と思っているが、「楽器のメンテナンスにお金を掛けられないような貧乏人は、音楽をするな」という言葉が浮かんでくる。


そうそう、ずばっと、


ピアノなんて、ばんばん買い替えなさい、輸入ピアノなんてなおさらよ、外車と同じでメンテばっかり必要。その点、国産ピアノ、ヤマハはいいよ。
ピアノに時間もお金も掛けられないのなら、やらなくていいよ、他にやることあるでしょう。


となかなか大胆なことを仰っていた方がいた。ピアニストの斎藤雅広さんだ。斎藤さんはヤマハで講師だけではなく、アドバイザーみたいなことをなさっているためか、それを割り引いても、ピアノ購入の選択肢については他に聞いたことがないご意見でなるほどと思ったものだった。

これは以前、斎藤さんのブログで拝見した記事だったが、そのブログには「ピアノQ&A」のページというものがあり、読者からの質問に答えられているのが、特に面白かった。
参考になることばかりだったので、一部保存しておいた。読み返すと一層面白い。今、斎藤さんのHPには、そのページが見あたらず、NHKの「趣味悠々」講座をされていたときのQ&Aとも違うようである。後でゆっくり検索して見てみたい。


さて、その「ピアノQ&A」は、斎藤さん自ら文中で「別名お仕置き部屋」と言われていた。プロのピアニストを目指したい、あるいは子どもを音楽家への道に進ませたいという読者の悪意も他意もない投稿に斎藤さんが容赦なく真摯に返答され、質問者の脳天気さが浮き彫りになってしまうのだが、私も一緒にお叱りを受けている気分になってくる。私はただの趣味でプロを目指すとかは関係ないが、投稿された方々の無邪気さはそのまま通じる。よくぞ投稿してくださったと思う。


斎藤先生のお言葉

「あなたは何でもご自分で試そうとはせず、略〜、『人がこう評価したから』で判断して、なるべく無駄をしないでお金もかけず楽して、世を渡ろうとしているとしか思えません」
  ー これは別の回答で「器用に立ち回るな」と仰っていたのと通じると思う。

「文化というのは、そもそも時間とお金と労力を費やすもので、


人にものを聞けばすぐ答えを得られる等と考えているのなら、改めるべきだし失礼です。私は『お答えロボット』ではありませんし、


時間とお金を使ってCDやコンサートで何十人もの演奏を聴き、楽譜も何種類もの権威ある楽譜を買い揃えて勉強し、略〜、先生方のレッスンも受けられ、様式を把握してからここにいらっしゃい。
人に質問し答えてもらえるためには資格がいる、無勉強・無教養であってはならない」


他にも、伝統を継承する正しい読譜力をつけていく、練習は緻密に、地道なことができないような子どもならやめたほうがいい、と厳しいようで親身な細かいアドバイスが綴られている。
私も、ピアノの先生によく言われるが、練習は「急がば回れ」だなあと思う。


斎藤先生のお言葉で今日は締めくくろう。
「どんな課題曲であっても、あなたに才能があればよい曲に聴こえますし、やる気があれば努力したことはすべて実になるものです。勉強する身で選り好みする権利などないと知るべきです」


はい、その通りです。
いくら趣味で弾いているとはいえ、この曲は嫌だ、と選り好みする権利はないのかもとちょっと謙虚な気持ちになった。それよりも、近頃レッスンでは、大人の趣味だから、好き勝手させてください、いいでしょ、という態度になっていたのではないだろうか。
と深く反省した。


一曲の代わりに


お豆腐の上の大葉は
私が切りました。
なんと不細工なのでしょう。
いつも手を抜かず綺麗に切る夫とは違います。
とうもろこしも適当です。


私の弾き方と同じです。