2012年9月10日月曜日

「ナンシイのピアノ」が聞けるようになっていた

ピアノの練習をまたサボり勝ちになっている。
それで、どうしてもピアノ関係のことには、足を向けて寝てしまっているというか、敷居が高くなってしまっている。このブログでも、ピアノ関係のことは、それっきりの記事が多い。

本当は、この夏はフランスの作曲家シャミナードについて書こうと思っていた。夏にピアノを練習するというと、ナンシイのことを思い出して、同時にシャミナードの名前も浮かんでくるからだ。
ナンシイというのは、アーサー・ランサムの『スカラブ号の夏休み』に出てくるアマゾン海賊で、妹はペギイ。

小学5年生の夏休み、私は学校の図書室から『スカラブ号の夏休み』を借りて、夢中になって読んだ。これは『ツバメ号とアマゾン号』シリーズとして知られる12巻のうち、最後から2番目の本である。
この本から読み始めたのは一番面白そうだったのと、最初の数冊は、図書室で誰かが積み上げて一生懸命読んでいたからだった。

最初のページを開いた途端、ナンシイとペギイの海賊姉妹の虜になってしまった。長い夏休みでもシリーズ12冊は読み切れず、『スカラブ号の夏休み』はまさしく夏の思い出となりかけながら、少しずつ借り出しては読み進めた。
いつかお小遣いで12冊全部買おうと思いながら、結局は一冊も買えず、大人になってから『スカラブ号の夏休み』だけ買った。あとはそのうち、と言っているうちに買う気がなくなってしまった。
実はもう、登場する他のたくさんの子どもたちやヨットの漕法などの細々としたことに、頭がついていけなくなっていたのかもしれない。近所の図書館で借りてみたこともあったが、私はナンシイとペギイ以外あまり興味が持てないのだった。

『スカラブ号の夏休み』の記憶は既に薄れている。もちろん本はあるのだが置き場所が悪くて虫が出そうで怖い。紙魚みたいな虫ではなくて、何か変な虫。
でも、ずっと忘れなかったことがある。それが、ナンシイが大おばさんの前でピアノの練習をしなくてはいけない、ということで練習していたのがシャミナードだったということ。この聞いたこともない作曲家の名前と、ナンシイの練習曲がどんな曲だったのか興味津々だった。
あとは、芝刈りのこととか、インテリのドロシアとディック姉弟が半熟玉子を作るのに、3分きっちりで茹でていることかな。

さて、時折思い出してはシャミナードの曲をネットで検索していたが、最初の頃はほとんどヒットしなかった。特に音源を探しても、midiの時代でまったくといっていいほど無かった。

ともあれ、次第に検索すればシャミナードについて名前が上がるようになり、いつのまにかYouTubeにもアップされるようになっていて、数も増えている。
まず聞いて驚いたのは、結構大人っぽい流麗な曲なのね、ということだった。どんな曲なのかは全然分からないにしても、海賊ナンシイが日頃は丸っきり練習していないようなので、もっと子ども向けの曲なのかと思っていた。私は少しショックだった。私はいつまでたっても上達しないのに、ナンシイは弾けるのねってと大人げなく僻んでしまった。
一時は無料楽譜でシャミナードをプリントアウトしてみようと思ったくらいだったが、私にはあまり合わないどころか、練習を積まないと弾けそうにない。

そうそう、シャミナードを思い出したのは、「気ままな生活」さん(top)がスティーヴン・ハフの新譜『French Album』をご紹介されていて(2012.9.6)、その中にシャミナードの名前があったので。
さらに、「気ままな生活」さんの直近記事では「作曲家ワイセンベルクとジャズ(2012.9.4)」という珍しい話題を取り上げられていて、大変面白く読ませていただいた。私は、ワイセンベルク様が好きなのに、スカルラッティとバッハをちょろりと聴くくらいで、何も知らない。「気ままな生活」さんの素敵な選曲と文章を拝見していると、空っぽの自分に中身が付いていくようでとても有り難い。

最後に「ナンシイのピアノ」は聞けるようになっていただけではない。検索すると、
ドンキイ探検隊調査報告書さんHP(home)
「ナンシイのピアノ」が取り上げられていた。ヤホイ(という年でもないが)!
練習風景を読むと、まあ、ナンシイはまるで私そのものではないか。大おばさんの前でナンシイ(ペギイか)は”何とか音楽に聞こえるまで上達している”ので、私もがんばろうと思う。

ドンキイさんのHPを拝見していると、また読みたくなってくる。まずは、我が家の『スカラブ号の夏休み』に虫が付いていないか、見てみよう。
そうそう、私の友人もアーサー・ランサムの『ツバメ号とアマゾン号』シリーズの大ファンだ。でも、一度も友人とは、ランサムの話をしたことがないのが不思議。