2012年6月13日水曜日

袖丈の長い話

もう夏を迎えようとしているのに、ライトグレーのスプリングコートを買ったときのこと。


そのコートは、シンプルなステンカラーコートで、見た目はゆったりとしていたが、試着してみると痩せ気味の私にも割とタイトだった。それより、袖丈が短いようで気になった。私は腕がゴリラのように長くて、若いときはレディースの服が合わず、メンズのジャケットやシャツを羽織っていたことがある。パンツもね。


でも、最近の袖丈は昔のように長くないし、春物なので、袖丈が長いのも重たいし、たくし上げて着るかもしれない。それにワンサイズ展開だったので、大きいサイズはなかった
店員さんや同行の夫にもバランスをよく確認して見てもらったが、可笑しくないよねということで、買って帰った。でも、お店の鏡の前では、袖丈というと必ず思い出す話を瞬時に思い出していた。


それは、もうかなり前に、「海幸山幸」HPの友人が、繁華街にある量販系のアパレルショップでバイトをしていたときのこと。
これは春ではなく秋に聞いた話で、当時は、まだまだ少なかった中国人観光客の若い女性がお店に来て、冬のコートを試着した。とても気に入ったようだったが、袖丈が七分袖といえばもう大げさだけど、それくらい短かくて悩んでいたらしい。
友人がどうしたものかと一緒に思案していたら、男性の店長さんがやってきて、「短いのが流行りですよ」と言った。そして、お客さんは買って帰ったそうだ。


そのお店では音楽がいつも賑やかに流れていて、ガンズ・アンド・ローゼズの曲がかかると、私の友人は、同じガンズ・アンド・ローゼズファンのバイト友達と、目を合わせて片腕を挙げて一緒に喜んだらしい。そのお友だちは、アルゼンチン人だと聞いたような気がする。
この話を、「海幸山幸」でも拝見したことがあると思うのだけれど、少し記憶間違いがあるかもしれない。


こうして、袖丈とガンズ・アンド・ローゼズをワンセットで思い出すようになったが、スプリングコートを買った後で、お店のブログを見ていたら、接客してくれた人とは違う店員さんが同じコートを着ている写真があった。
斜め45度(適当)に後ろ向きで左半身が写っていたが、袖が手の甲の半分近くまで掛かっていた。


やはり短かったのかと一瞬焦った。でも、小柄な店員さんのようで、袖丈が長すぎるように見えた。まあ、適当な大きさのコートなのだろう。
気温が高くなって、この綿100%のスプリングコートを手洗いした。洗濯機でもOKだそうだ。干すとき、選択表示に縮む恐れあり、と書いてあったので、少し伸ばし加減に引っ張った。
ちょっと長くなったような気がした。だけど、それはそれで不安で、我ながら貧乏性は始末に負えない。


さて、どうして今頃、コートの袖丈の話なのかというと、この間、陰陽師さんという方が翻訳された短編が面白いとご紹介したが、陰陽師さんの別ページ「陰陽師的音楽堂」に、ガンズ・アンド・ローゼズの曲にまつわる話を書かれていたのを覚えていたからだ。


開いてみると、やはりあった。そして、読み直してみると、書かれていたことを自分はあまり覚えていなかったことに驚いた。興味深いお話だった。わたしも陰陽師さんと同じような体験があるのだが、それはさておき、陰陽師さんが訳されたガンズ・アンド・ローゼズの歌といい、短編といい、場所にまつわるタイトルが続いている気がするが、私は長い間居場所を変えていない。
ずっとここにいるので、どうしてそこから出ないの、とよく不思議に思われる。度が過ぎると気持ち悪がられるか、忘れられてしまうようだ。




*陰陽師さんの陰陽師的音楽堂ページ 「アクセル・ローズはどこへ行ったんだ」(ガンズ・アンド・ローゼズ)
陰陽師さんのHP 「ghostbuster's book web.」