2012年3月9日金曜日

100年前に100年先を行く

ドイツの無声映画「メトロポリス」(フリッツ・ラング監督、1927年)がパブリックドメインで公開されていると聞いて、ちょぼちょぼ見ている。
YouTubeでは画面がひしゃげているので、俳優も横に押しつぶされて見えるし、無声映画なので絶え間なく音楽が流れているのも疲れる。


特に、主人公のフレーダーが気持ち悪く見える。モノクロで且つ無声映画だと、メイクと演技を過剰気味にしないと、フィルムにも観客にもイメージとストーリーが焼き付けられないようだ。
フレーダーの父親であり指導者階級の頂点に立つフレーダーセンは、この動画では、ひしゃげているはずなのに、端正で格好いい。


「SF映画の金字塔にして最高峰」と言われるだけある。1927年によくあんな映画が作れたなあと、感心する。現代の都市と変わらぬ摩天楼がそびえ、そのビル群の間を縫って飛行機が飛び、都市高速みたいな道路も縦横に巡らされ、車が絶えることなく流れていき、繁栄を感じさせる。コンピューターもどきのシステム管理や監視カメラもあった。


およそ100年前に100年先が見えていたとは。

地上の都市部を支える動力部となっている地下では、下層階級の労働者がシフト制で働き、当然使い捨てにされていて陰惨なのだが、描写は淡々としていてセットは凝っている。
マリアとアンドロイドの二役をやった女優ブリギッテ・ヘルム。「YOSHIWARA」で踊るシーンは、官能的というかエロティック。DVDでちゃんと見る価値はありそう。









100年前に100年先のイメージを創り出せるなら、今の私も、何か先のことを今の時点で創り出せないだろうか。10年後にはまだ実現できていなくても、実現のために準備を進める、というだけでもいい。


そういう意味では、日常生活においても、洋服を選んで着たり料理を作ったりと、先に出来上がったものをイメージしてから動いていることもたくさんあるわけだが、それに加えて何か違うことを思い描いてみたいと思う。
自分広告でも作ってみようかな。未来に釣られる自分が今のところ何もないのは残念だから。


10年後に備えて、そのために今を我慢するとか、老後に備えてばかりでは面白くないもの。


★メトロポリスの紹介とレビュー「喫茶ぱらだいすあーみー」さん(セーラームーンの画像が出ます)の派生雑学に進んで、最後の記事
★同じくレビュー 「良い映画を褒める会」さん 第一部、第二部他記事いろいろ