2013年6月29日土曜日

抜け落ちていた人

この間書いた『フランバース屋敷の人々』で、主要人物であるウィリアムの名前が落ちていた。クリスチナの二人の従兄弟のひとりで、マークの弟にあたる。
わざとではないが、何となく書くのが面倒で、それに私はクリスチナとウィルが中心となる第二部が苦手だった。
馬の話が読みたいのに、飛行機の話だったのも面白くなかったし、大体、第一部の終わりからして、クリスチナとウィリアムの関わり方が腑に落ちなかったせいだろう。

その飛行機の話なのだが、1912年のロンドン、本の中では、馬車もまだ走っているが、裕福な地区では自動車も多く走っていたようだ。そして、飛行機が飛び始めて間もないというのに、既に「飛行学校」(訳文ママ)飛行機の教習所みたいなのが幾つか出来ていて、運転を習いに来る生徒の予約もいっぱいだったりしている。

その「飛行学校」の指導員であるサンディという青年が、お金持ちで美貌の生徒ドロシーにお茶をご馳走する場面がある。私はこの二人が、主人公たちより終始好きだった。かといって、読み返してみれば、ウィリアムも別に嫌ではない。ただ、馬ほど好感が持てないだけかもしれない。

ウィリアムとサンディは、お金を稼ぐために幾つもの航空ショーに参加し、曲芸飛行をやってのける。この第二部『雲のはて』では、全編を通じて、そうしたショーや曲芸飛行に伴う危険や事故が容赦なく書かれている。
でも、読みながら、単葉機・複葉機の区別すら、私は気にしていなかったと思う。

さて、現代の話。
つい一週間ほど前に、米連邦航空局職員で「ウィングウォーカー」(飛行中の複葉機の主翼に乗ってパフォーマンスをする)のジェーン・ウィッカーさんという方が、飛行機の墜落により亡くなったのを知った。私はテレビも新聞も見ないので、事故のことはすぐには知らなかった。

人は、というより、アメリカの女性(お国の大きさからして、ニュースの頻度が多いので)はこんなこともできるのかとタフさに驚くことが多いが、ウィッカーさんと息子さん二人や、もうすぐ結婚する予定だったフィアンセとの写真を拝見すると胸が痛む。

ジェーン・ウィッカーさん

US-2 新明和工業 私は全く技術系に弱いのだが、スレを拝見すると救難用の素晴らしい水陸両用飛行艇のようだ。離着水の技術が素晴らしく、実際に操作・救助する海自の人たちの能力もすごいようだ。当たり前のように見えるけれど、日頃の訓練のたまもの。
新明和さんが、理髪店のシャンプー台やゴミ収集機、立体駐車場などを作っている身近な会社だとは知らなかった。

こうして書きながら、私には何の技術も能力も経験もないことに気付く。
それとは何も関係ない話だが、洗濯機の買い替えを決めた。それでも新しい日がやって来そうで嬉しい。