2013年3月5日火曜日

バナナの力説

だいぶ日が長くなってきた。
ちょくちょくと、病院へ「ちょっとお見舞い」に行っている。

入院されているのは、お若いときから様々な疾病で入院経験をお持ちの自称ベテラン患者でいらっしゃるが、付き添われている奥様が、だいぶお疲れのようだ。

先日は買い物をしたあとに、病院へ回る予定だった。でも、デパートの地下を二つ回ったのに、お見舞いにと考えていた品がなくて困ったなと思った。
それで、デパ地下で自宅用に買ったバナナを差し上げることにした。
ちょうど小さな紙袋が余分にあったので、それに入れた。

これは、付き添いの奥様に召し上がっていただくためである。
バナナは進物用ではないし、立派な奥様に失礼じゃないかと気がとがめたが、家人が言うには、
「バナナはリンゴやメロンと違って、ナイフもフォークもお皿も要らない。みかんと同じで皮を剥くだけで食べられる。
昔は高級品でお見舞いの定番だったバナナも、今はそうじゃないから、誰もお見舞いにバナナは持って来ないだろう。
親戚の人は特に持って来にくいと思うよ。
バナナは朝食にもおやつにもなるし、夜食にもちょうどいい。
付き添いの方に差し上げるには、ぴったりだよ」

なるほど。
一聞けば二十は答えが返ってくる家人である。

さて、その力説付きのバナナだが、奥様は大変喜んでくださった。
奥様にはお気遣いなくといつも言われているし、手ぶらでお伺いすることも多いが、何か気が和んだり、あると助かるようなものがないかなと、考えるのも楽しい。

この間は、加賀棒茶で有名な丸八製茶場のお茶のティーバッグがあったので、お持ちしてみた。テトラ型のティーバッグで、缶ではなく6ヶ入りの袋にした。
店で遠目から見ると、個性的なパッケージだと思ったのだが、近くで見るとそんなに好きな絵柄ではない。だけど、プチギフトにはよい感じ。


そうだ、話は変わるが、ずいぶん昔のこと。
朝は10時過ぎ頃、市役所近くの停留所でバスを待っていたら、ふらふらとどこからともなく若い女性が出てきた。薄着だったから、春か夏の頃だった。
停留所のすぐそばにある自動販売機で、ジュースなどをごろんごろんごろん、と何本も買って、両手に抱えた。
すっと手を挙げてタクシーを拾い、走り去った。
友達に会うのだろうか、何だか気楽でいいなあ、と思った。

追記
両腕に缶ジュースを抱えたまま、すっと手を挙げられるわけがなく、ちょっと国道際に立っただけでタクシーが止まったのだった。